虫歯予防・小児歯科にチカラを入れている、高知県高知市愛宕町の松木歯科医院
フッ素によるむし歯予防効果を説明する前に、歯の分子レベルでの構造、むし歯のでき方についてお話しします。
歯の構造は分子レベルではイラストのようにカルシウム、リン酸、水酸基から構成されているハイドロキシアパタイトでできています。その他にもマグネシウムなどのミネラルを含みますが、微量でありここでは省いて説明します。
歯の表面にはプラークが付着し、プラーク中の細菌が活動することにより、酸を発生します。
ハイドロキシアパタイトの結晶は酸に弱く酸に触れると結晶構造からカルシウムやリン酸等のミネラルが溶け出していきます。(脱灰)
各種のミネラルが溶け出した後のハイドロキシアパタイトの結晶は隙間だらけとなり、もろくなっています。この段階では見た目は歯の表面が白っぽい白斑を示しており、実質的な穴は開いていません(初期むし歯)。しかし、非常にもろいため、物理的な力が加わると歯質の表層が破壊されてしまい、穴が開いていまいます。これが一般にみなさんが言われるむし歯です。こうなると、自然治癒は望めません。
プラークが産生する酸がなくなると、溶け出していたミネラルが再度歯に吸収され始めます。(再石灰化)
これまでが、通常の状態での歯の脱灰と再石灰化です。ところが、ここにフッ素が加わるとどのようなむし歯予防効果が働くのでしょうか?
エナメル質(ハイドロキシアパタイト)の成分であるカルシウムがむし歯菌の出す酸によって唾液の中に溶け出していきます。この溶け出したカルシウムは再びエナメル質に取り込まれて、もとのハイドロキシアパタイトに再結晶するのですが、このとき、唾液中に少しフッ素イオンが存在すると、この石灰化を促進して歯の修復を促進します。
歯の成分(エナメル質)はリン酸カルシウムでハイドロキシアパタイトといわれる結晶を作っています。この結晶は酸に弱く壊れやすいのですが、ここにフッ化物がやってくると、フルオロアパタイトになります。このフルオロアパタイトは酸に対して安定した結晶です。そのため、エナメル質が強くなり、むし歯になりにくくなるのです。
フッ素イオンには細菌の活動を抑制する作用があります。そのため、お口の中にフッ素が存在すると細菌が酸を産生するのを減少させます。このこともむし歯予防に役立ちます。