虫歯予防・小児歯科にチカラを入れている、高知県高知市愛宕町の松木歯科医院
水道水のフッ素(フッ化物イオン)の濃度を0.7〜1.2ppmに調整することによりむし歯予防を行う方法です。
フッ素による虫歯予防の方法として一番聞き慣れない言葉かもしれません。でもフロリデーションはフッ素による虫歯予防の出発点であり世界中で行われているポピュラーな方法です。
参考までにむし歯予防に使用されるフッ素(フッ化物イオン)の各種濃度を提示します。
日本でのフッ素入り歯磨剤 | 約950ppm |
フッ素洗口剤 (毎日法) | 約250ppm |
歯科医院でのフッ素塗布剤 | 約9500ppm |
日本の川 | 約0.1~0.2ppm |
緑茶,人参 | 約0.5ppm |
ビール | 約0.8ppm |
海水、大根 | 約1.3ppm |
牛肉 | 約2ppm |
エビ | 約4.9ppm |
みそ | 約1~11ppm |
塩 | 約26ppm |
ヒトの骨 | 約1000ppm |
ヒトの歯 | 約890ppm |
ヒトの心臓 | 約2.3ppm |
以上はほんの数例ですがお気づきのようにフッ素(フッ化物イオン)は私たちの食べる自然の作物、生き物ほとんど全てに入っている成分です。むし歯予防に使用するというと特別なクスリという感じがされるかもしれませんが、むし歯予防に使用されるフッ素は自然環境物資であり、アメリカではヒトの必須栄養素のひとつとして認められています(WHO,FDAアメリカ合衆国食糧医薬品局その他)。またフッ素(フッ化物イオン)は私たちの歯をはじめとする身体の構成成分の一つです。
① | まず水道水中にもともと含まれているフッ素(フッ化物イオン)という必須栄養素をヒトにとって適切な濃度に調整します。 |
② | そうすることにより全てのヒトがその地域で生活するだけで特別な努力を必要とせずにフッ素という栄養素を適量摂取できるような環境ができます。 |
③ | このような環境をつくることにより、その環境に住んでいる全てのヒトのむし歯をいつのまにか予防する方法です。 |
これは西洋医学で発明されたあらゆる公衆衛生の方法の中でも最もすぐれた方法の一つとされています。なぜなら人類はフッ素(フッ化物イオン)とともに生きてきており、太古の昔からフッ素(フッ化物イオン)入りの水を飲んできた歴史があるからです。ただ川のフッ素(フッ化物イオン)濃度は地域により異なったので、ヒトにとって過剰に取りすぎないようかつ不足もしないように最も都合の良いフッ素(フッ化物イオン)濃度に調整する方法が水道水フロリデーションです。
つまり水道水に特別な物質を混入するのではなく、もともと自然の飲み水の中に存在していたフッ素というミネラルの濃度をヒトにとって最適な濃度に調整する方法であり、自然の知恵を拝借した、最もヒトに優しい、自然に限りなく近い方法です。
アメリカでは水道水フロリデーションをしていない地域では小児にフッ素(フッ化物イオン)のサプリメント(錠剤)を処方してくれます。そのようにしてフッ素(フッ化物イオン)の栄養不足をふせぐように努力しています。このような努力の結果、アメリカではむし歯が激減しました。
ただ水道水の設備が完備していない地域では水道水フロリデーションができないため、フッ素洗口が勧められます。
フッ素洗口もすばらしい方法ですがこれよりも更に安全性が高く、むし歯予防効果の高い水道水フロリデーションはむし歯予防の方法としては最も推奨されています。
水道水フロリデーションにくらべフッ素洗口は手間暇がかかり(必ず週に1回、もしくは毎日うがいをする必要がある)、うがいができる人間に限られる(3歳以下の乳幼児、病気で寝たきりの場合や手が不自由な場合などはできない)、などを含むその他いくつかの理由からフッ素洗口法は水道水フロリデーションが出来ない地域での第二、第三番目の選択肢とされています。
水道水フロリデーションは下図のように世界中で支持され実現し、実現している地域は年々増加しています。
水道水フロリデーションが行われている国を塗った世界地図を入れる